最近、一緒に映画に行ったという情報を伺っていますが、ふたりの交流としてはいつからなんですか。
TKもともとは、2015年の7月に英・ロンドンでやった「JAPAN NIGHT」
というイベントがあったんですけど、そこが初めてかな。それまでも、フェスで一緒になっていることもあったとは思うんですけど、基本的に凛として時雨があまりフェスに出ないのもあったし。もちろん([Alexandros])の存在はずっと知っていましたけど、会う機会はなかったね?
川上ピエール(中野)さんは、僕らの番組に出てくれたり、イベントでお会いしたことはあったんですけど、TK君とはなくて。なにより海外で初共演が果たせたのはよかったなと思いましたね。すごく、濃かったと思う。
海外だったからこそ、いつもとちがって話もできたり?
TKでもその時も、イベントだったからお互いにバタバタとはしていたんです。しかも2マンではなくて楽屋も離れていたから、しゃべるタイミングもなかったんですよ。打ち上げの帰りくらいでやっとしゃべれたのかな。ちょうど、VAMPS先輩もいたりして(笑)。
川上hydeさんを交えての、初TKだった(笑)。
TKじつは洋平君とは、同い年なんですよ。僕の周りは同い年があまりいないんですよね。それがなんだか嬉しかったし。ようやく、対面を果たせてよかったと。
そこからはプライベートでも会うようになったんですか?
TKプライベートでちゃんと会ったのは、さっき話に出た映画に行ったときです。NICO Touches the Wallsのみっちゃん(光村龍哉)と3人で(笑)。意外な組み合わせですけど、みっちゃんとは、下北沢Queとかでやっているころから一緒にやっていて。
川上え、そうなんだ。
TKツアーにも出てもらったりしているんですよね。でもなかなか、同い年の洋平君とはフェスやイベントでも巡り合わず、ようやくロンドンでという(笑)。
川上うちは結構フェスには出ているけど、出ておきながら楽屋からは出ないので(笑)。楽屋とケータリングエリアをうろうろするくらいで。
TKっていう話を映画に行ったあとにも話していたんですよ。意外だった、もっと外交的だと思ってたから――。
川上マジで(笑)?!
TK友達が多いイメージもあったし。自分からはいったりしないの?
川上全然いかない。あとはフェスってやっぱり、俺は対戦モードだったり緊張感があるほうなので。自分の出番が終わろうが、前だろうが、ほかのバンドと仲良くできないんですよね。
TKとくにフェスは、ワンマンとかの緊張感とはまたちがう、独特の心のざわつきがあるね。たしかに僕も、出演後はまだいいですけど、出演前にほかの楽屋に行って、さきに乾杯しちゃうみたいのはないですよね(笑)。うちのサポートのドラムをやってくれているBOBOとかは、よくいろんな楽屋を巡回してますけど。
川上ドラマーはそうだよね(笑)。うちのドラム(庄村聡泰)もそう。
TKそう、もともとは聡泰君が凛として時雨のライブに観に来てくれてたんですよ。
川上大好きだからね。聡泰がうちでいちばん気さくだと思う。バンドの窓口になってる感じで。
TKずっとうちの中野君も仲良くしてるみたいで。
川上慕ってますからね。
ドラマー同士のつながりって結構、濃いですよね。フロントマン同士は、なかなかそういうのもないような気がします。
川上やっぱり抱えてますからね、闇を(笑)。それを打ち明けられるような間柄って簡単には見つからないでしょうしね。見つかったとしても、手の内を見せるじゃないですけど、あまり見せたくないじゃないですか。でもそれが同い年だったり、共通項があると突破しやすいというかね。ああ、タメなんだねっていうだけで、ほかにあまりいないから。82年組が抱える、どっちつかずの感じがお互いにわかるというかね。
TKそうそう(笑)。
川上変な感じなんですよ。30代後半の先輩方が中堅だとして、20代が若手とすると、33歳って、どっちつかずの感じがあるというか。9mm Parabellum Balletも近いんだっけ?
TK9mm Parabellum Balletはずっと一緒にやって来ている同世代だね。
川上ぽっかり空いた82年組っていう感じで(笑)。僕もデビューした時は、仲間があんまりいないなと思ってたんだけど。それはそれで、珍しい世代なのかもしれない。だから、仲良くなるきっかけとしては、わかりやすいところですよ。とは言っても、凛として時雨は先にデビューしてるので、先輩ですよ。([Alexandros])は2015年デビューだから、KANA-BOON達と同期だと思ってるから(笑)。インディーズとしてのデビューも2010年だからね。遅いと思う。
TK2010年より前も、バンドはやってたんだよね?
川上アマチュアだよね。[Champagne]を結成したのは、大学1年のときで2001年で(2014年3月に([Alexandros])に改名)。そこから10年くらいデビューできずに、アマチュアで、バイトをして、社会人もやってという感じ。
TKやってる曲調としてはあまり今と変わらない感じだったの?
川上最後の一年くらいでやっと、1stアルバムの『Where’s My Potato?』に入ってる曲ができあがってくる感じかな。
TKそこらへんで今のかたちが形成されていったんだ。凛として時雨は2002年に結成してるので。
ふたりとも同じくらいには、今のバンドをはじめているんですね。
TKただ僕は、ちゃんとエレキギターに出会ったのが遅くて、高校生くらいだったかな。
川上でもだいたいそのくらいじゃない?
TK早い友達は、中学くらいにはもうギターできてモテてるみたいなのあったよね(笑)。
川上高校入って一目置かれるっていう感じだよね。
学生時代だと、バンドブームみたいなものはあったんですか?
川上高校時代くらいだと、ビジュアル系とかもいっぱいいたし、ミクスチャー系バンドも多かったかな。Dragon Ashも出てきたりしていて。
TK当時はGLAYとかLUNA SEAとか周りはみんな聴いてましたね。
川上L’Arc~en~Cielもいて。
TK毎週そういうバンドがチャートインしてる印象ではあったかな。出たらCD買ってコピーして。
川上やっぱり話が通じる(笑)。シーン的には同じこと経験してる。
TKで、ちょっと尖ってる同級生の子は、ニルヴァーナとか聴いてたり。
川上悪そうな人はだいたいTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTかBLANKEY JET CITYを聴いてた。俺みたいなほんとにマイナーなやつは、WINOとかNorthern Brightを聴いたりしてた。WINO好きだったんだよね、未だに聴くもん。
TK自分が思春期だったからかもしれないけど、あの頃は独特のシーンがあった気がする。
川上音楽番組も多くて、今まではビジュアル系だったり近寄りがたい存在だったバンドマンが、意外と話してみると普通の人の感覚に近いというか。その前の世代だとX JAPANとか、近寄りがたかったと思うだけど。90年代後半に入って、親しみがわくような雰囲気になってきたので。90年代って、すごく雑多な時代だったなっていうのはありますね。
TK小室哲哉さんの音楽も中心にあったしね。
川上宇多田ヒカルさんとかね。いろんなものが一気にドンと出てきた。
そういういろんな音楽を思春期で体験するっていうのは面白いかもしれない。
TKなにかひとつが特別っていうわけじゃないと思うんですけど、あの時代に生まれていた音楽は、細胞レベルで吸収していると思うんです。
川上自然に流れていたものだったからね。だから、今思うとちょっと恥ずかしい歌かなっていうのもあるんだけど、カラオケで流れたりすると歌いたくなるし(笑)。実際、歌うし。
TK意外。カラオケ行くんだ?
川上この前行ってきたんだけど、やっぱり選ぶのは90年代なんだよ。歌えるんだよね、90年代のものって。
TKそういえば少し前、父親から、僕が小学生の頃に山下達郎さんの「クリスマスイブ」を歌ってる写真が送られてきたよ(笑)。
川上TKの「クリスマスイブ」聴きたい。
TK今は絶対、カラオケとか行かないんだけどね。当時は、カラオケ好きでよく家族で行ってたなと。延長してってよくお願いしてた気がする(笑)。
川上いや、行ったらマイク離さないと思うよ(笑)。とくにミュージシャン同士だと楽しい。
自分で音楽を選んで聴くようになって、これが自分自身のルーツになっているなと思うのはどのあたりものですか。
川上自分で掘り下げていったとなると、UKロックなのかな。でもその前には、お兄ちゃんの影響もあって、ガンズ・アンド・ローゼズとか、ヴァン・ヘイレンとか、USハードロック、80年代の商業ロックからはじまったのかなと思えばそうだし。ガンズだったりは、兄に強制的に聴かされてたかもしれない。
TKたしかにでも、クラスで洋楽聴いてる友達はかっこいいお兄ちゃんがいたんですよ。
川上うんちく垂れてるようなね。
TK僕は、お姉ちゃんだったから、勧められる音楽が渡辺美里さんとか、松任谷由実さんとか、王道のポップスだったんですよね。僕はルーツがJ-POPなんですよね。UKロックとかオアシスはその後で。レディオヘッド、ビョークとかシガーロスも、わりと最近の感じなので。聴いていた洋楽もあるけど、もともとは僕はJ-POP、J-ROCKですね。
川上だからだと思うんだけど、激しいサウンドで、プログレっぽいことやっていても、ちゃんと歌ものなんですよね。それは凛として時雨もそうだし、ソロもそうで。歌心を大事にしている人は、温かみがちゃんと中心にある人だしね。
TKメロディを大切にしているのは、お互いにわかる。僕も洋平君の作るメロディが好きなのもそこがあって。結構、ストレートに見えるけどストレートではないじゃないですか。すごく歪なものが混ざっているけど、パッと聴いた時に透明感が響いてくるっていうのが、好きなところで。
川上それは、嬉しいな。
TK高校生の頃、こういう曲に出会っていたら、ノリノリで坂を自転車で駆け上がっていただろうなって(笑)。同じように、それがどれだけ歪んでいたり、構成が入り組んでいても、伝わってくるものは核にあるメロディのよさで。だからこそ、あれだけ多くの人に伝わるんだろうなというのがありますしね。
それは、J-POPだったりUKロックならではのキャッチーさや王道感が、自分自身に染み込んでいるからですかね。
川上そうですね。例えば、デジタル的な要素に取り入れて無機質なものを武器にしても、その部分を損なわなければ、ちゃんと人に届くし。曲として、体温があるものになる。芯がしっかりしていれば、逆にどれだけ遊んでもブレないというか。それは、歌心がしっかりある人の武器だと思うんですよね。バンドでも、ソロでも、この人はブレないんだなっていうのはわかる。
TK歪なだけのものを作ろうと思えば、極端な話誰にでも作れると思うんですよね。でも、それだけのものになりたくないっていうのは、自分が育ってきたルーツの、メロディの美しさがあるんだと思う。どれだけ歪になっても、繋ぎとめてくれるメロディが絶対に存在してるから、マニアックなだけのものにならないのかなっていう。
川上やっぱりヴォーカリストなんだなと思う。いちばん大事にしている部分が歌、っていうのがあるから、安心して遊べるんだろうなっていう。そこは、似てると思いますね。
今、話してもらったのは共通点の部分ですが、反対に、これはお互いにないところだなっていうのは。
川上センスじゃないですかね、僕とちがうセンスというか。TKは、自分の頭のなかにあるものを、そのまま脳みそが出てきたんじゃないかっていうくらいに表現していて、すごく複雑なことをやってるんだけど、クリアなんですよね。これは他の人がやったらわかりにくいだろうなってことが、わかりやすく届くんですよね。なんていうか、松ちゃんと浜ちゃんがひとりになった感じ。
TK最高の褒め言葉だね、それ(笑)。
川上松ちゃんのギャグって、浜ちゃんがいないと成り立たないし。それが、ソロになってもわかりやすくなっているのはすごいなと思うんですよ。ミックスも自分で手掛けているTKならではの部分って、すごく強いと思う。こういう人はソロやっていいと思うんですよ。僕はね、たぶんできないから(笑)。
TKやってみようって思ったことないの?
川上ないかなあ。ひとりでライブするのはいいけど、作品は結局ソロにはならないと思う。人に刺激を受けて出てきたりするもののほうが好きだから。
TK普段作るときは、バンドでセッションしながら作るっていうことが多いんだ。
川上ここからはもう自分だけでは進みたくないから、あとはそれぞれやりとりしながらバンドで作っていくかな。音楽ソフトとかで作って渡してという感じではあるけど。
TKパソコンすごく苦手なんだよね(笑)。
川上最近、なんとなくはじめてみたんですけど(笑)。
TK僕はそういう人の方が羨ましいんですよ。この前も、安藤裕子さんに楽曲提供させていただいたんですけど、そのときも僕が作ったメロディに歌詞を入れましたって、iPhoneで録った音で届いたんです。それってアナログだけどいちばんピュアな状態じゃないですか。僕は、良くも悪くも最終形を探しながらイメージして突き詰めてしまうから、デモの段階で作り込んでやっちゃうことが多いですね。
川上最近はそうしてる、じつは。作るのが楽しくなってきたから。逆に、余白を残したくてやるときはセッションで作っちゃうんですよ。その場その場でやっていくほうが、バンドも瞬発力を養えるので。一緒に作っていく感じになるし。
先ほど、この世代は上の世代と若手に挟まれた中間ゾーンだと言っていたんですけど、それだからこそ抱える特有のものって何かあると思いますか?
川上あまりないのかなあ。僕、個人的には、あまり“世代”を意識して音楽をやっていないんですよね。プライベート的なところでは、先輩後輩とか、タメだなとかはありますけど。音楽の部分ではあまり気にしてないんですよね。
TKうん、ないかもしれない。今、こういう音楽が求められているというものは、その時代、その時代であると思うので、なんとなくラジオで耳にする音楽が、僕らがやっていた時代とはちがう雰囲気だというのはありますけど。それこそ、年下だと思っていた子が、話したら同じくらいだった時もありますしね(笑)。
川上すげえある(笑)。
TK僕はあまり若い世代と交わる機会がないけど、もし洋平君がフェスにいて、僕が後輩だったら話してみたいと思うんですよね。僕はあまり後輩から話しかけられるっていうのはないけど(笑)。怖いのかな……
川上俺も、まずは聡泰を介してくるのが多い(笑)。まあ、ヴォーカルってそういうものなのかもしれないけど。
TKミュージシャンにしてみれば、曲を作ってる人は、いろんなことを考えながら研ぎ澄まして作ってるのを知ってるから。だから、「最高でした」ってパッと話しかけづらいっていうのはあるのかもしれないね(笑)。後輩はやっぱり、恐々と話しかけてくる感じ?
川上最初はそうだね。で、話してたら、「洋平さん結構、LINEでスタンプとか使うんですねって(笑)。
TKそんな怖いイメージないんだけどね。でもそもそも周りと交わろうっていう気が――。
川上一切ないからね。群れるのが嫌いで。対バンをしていってみんなで盛り上げていくのも、すごく嫌いだったんですよ(笑)。交わらずに、イチ抜けてやるっていう。世代的にはそういう感じじゃないかな、9mm Parabellum Bulletもそうだったし。バンド同士で仲はいいけど。そのなかで一匹狼的にいるのがかっこいいしね、バンドのファンからすると。
TK今もその感じは強い?
川上所謂シーンを作ろうみたいのがイヤなんですよ。それで終わっちゃうじゃないですか。いつまでも自分たちは輝いていたいし、シーンっていうのは移り変わるものだからね。次の世代にバトンタッチ、なんて気はさらさらないからね(笑)。
シーンを作る、シーンの担い手にとは、これまでもずっと言われてきたのでは?
川上言われますね。作らせようともするじゃないですか、メディアでも。そういうのには流されないようにと思ってた。僕は最初からそこは意識してましたね。自分のバンドの歴史上のシーンはいくらでもあっていいと思うんですけど、音楽全体のシーンのなかにはめ込まれるのは、イヤだったな。
TKさんは自分にはない、川上さんだったり([Alexandros])の面白さとはどういうところだと?
TK最初に見たとき、この人のロックスター感すごいなと思った(笑)。
川上はははは。
TKPVとかライブのMCもそうですけど。純粋にそれをやってる気がするんですよ。今こういう人は、少なくとも同世代ではいないし。音楽にも、一瞬で人を惹き寄せる魅力があって。そのバランスが凄く自然なんですよね。さっきのシーンの話とか、バトンタッチする気もないって言ってましたけど、それがもともと意識に備わってるじゃないですか。ライブ見ていてもバンドに対して、自信を感じますしね。“今、俺たちが鳴らしてる音楽最高でしょ?”っていう自信ってバンドとしては、誰もが思ってなきゃいけないことだと思うんですけど。僕は、自問自答しながらステージをやってるから、ライブをやっていると苦しい部分も多いんですよね。もちろん自問自答もあるでしょうけど、僕には無い人を巻き込む力を持ってる人だなって思ったんですよね。
川上そう見えているのであれば(笑)。
せっかくこうした機会ですから、お互いに聴いてみたいことっていうのはありますか。
川上最終的にどうなっていたいかっていうのはある?今はまだ辿り着けていなくて、でもこうなりたいなっていうもの。
TK洋平君は、よく“世界一になりたい”っていうじゃない?あれは素晴らしいことだなと思っていて。人からしたら、そんなって思うことかもしれないんだけど、音楽をやってる立場で公然と発言できるのはすごいことなんですよ。もちろん誰しも音楽をやってれば、世界一になれるならなりたいじゃないですか。僕はその手前の段階の、作っている目の前の曲をいかに人に響かせるかとか、自分やメンバーに響かせるかしか見えないんです。これをもって、どうしたいってところまで意識がいかなくて。だから常に、瞬間の連続でしかないんですよ。一時期、僕、めまいがひどくなったことがあって。普段体の不調はないんだけど、自分が予期できない不調が続いたとき、はじめてこのまま音楽できないのかなって思ったことがあって。
川上うん。
TKそれまでも、目の前にある音楽をどれだけ研ぎ澄ませるかに集中して作っていたんですけど、よりその意識が変わったんですよね。今目の前にあるものをより届けたいという意識が強くなった。自分たちのやってることが、音楽として歪なものっていう自覚はあるんですけど、その真ん中にあるポップな部分は、絶対伝わると思っているので。こういう音楽がもっと多くの人の耳に届いたとき、そこからさらに新しいものが生み出されるんじゃないかなというのがある。自分があの頃聴いていた音楽はたぶん、そうだったはずなんですよね。それで、日本のシーンを盛り上げたいという大それたことは思ってないですけど。こういう音楽が伝わったら、もっと面白くなるだろうなっていうのはどこかで思っていて。洋平君はどうなの?
川上俺は世界一って言ってるけど、具体的に“世界一って何?”って言われたら、例えばグラミー賞をとることなのか、世界一の売り上げ数を誇るのかでもなくて。なんとなく自分が、これは一番でしょ?って思えた瞬間を目指してるのかもしれないなと。音楽って、数値では測れないけど。でもどこかで、自分がいちばん好きだったバンドを超えたなとか、たどり着いたなっていう瞬間があると思うんですよ。そこは、自分で自覚できる瞬間だと思うから。その、アートの域にはいきたいかなと思っていて。難しいと思うんですよ、自分のことを好きになるって。
TKたしかにね、難しい。
川上どんだけ自惚れた人でも、それは劣等感からしかこないものだから。僕は結局、劣等感からそういうことを言ってる人間だから、どれだけバンドのことがかっこいいとビッグマウスな発言をしても、結局それはどこか、誰かに対する憧れや嫉妬からくる発言なんですよね。それが、本当の意味でちゃんと言える日がきたとき、本当にいいものができたなって瞬間が訪れたら、それが、最終的にいつ死んでもいいやってなるのかなって思うんですけど。でも一方では、単純に音楽とともに生き続けることが、目標だと思うんですよね。最終的にどういう音楽を作りたいかはなくて。それは、どんどん新しいことを思いついていきたいし、逆に考えないようにしてるんだけど。だから、ずっと音楽を追い続けられるような状態でいられればいいなっていうのもあるんですよね。
TKすごく分かる。
川上とにかく音楽を、続けることが大事だなって。3年間サラリーマンをやっていたんだけど。営業会議をしていても、仕事が頭入ってこないんですよ。結局、会議中に歌詞書いてたし、先輩と話しながらメロディを考えていたし。その時に思ったのは、俺サラリーマン向いてないなって以上に、音楽から逃げられないんだなってことで。営業先に先輩を助手席に乗せて運転していても、ついリズムとっちゃって、「おい、川上!」、「あ、すみません」みたいなね(笑)。でも、自然になっちゃうんですよね。これはもう無理だなと。音楽以外の仕事はと。
TK営業なら、営業で絶対トップになってやるっていうタイプじゃないんだ(笑)。
川上無理(笑)。会社員の人は情熱を持ってその仕事をしてるわけだから、俺にはそこじゃないんだなって思えたし、俺には音楽なんだなって思えた。自分がいちばん情熱を傾ける分野が音楽だと思った瞬間、早く辞めなきゃなって。会社の人たちにも、申し訳ないしね。
TK違和感があって、自分が本当にほしかったものがわかる瞬間ってあるよね。
川上27歳でサラリーマンやってバンドを目指したっていうのは、いい経験だった。大学卒業後すぐにデビューだったら、すっごい生意気になってたと思うから(笑)。
TKそれはそれで、洋平君らしいけどね(笑)。
川上すぐつぶれてたと思う。ある程度、仕事の仕組みがわかった上で、音楽を仕事にしたのはよかったなと思う。自分はこれを続けないとダメな人間なんだなっていうのもなんとなくわかったので。
TK生まれながらにしてロックスターなんだよ(笑)。
今回はTK from 凛として時雨の新作『Secret Sensation』の特設ページにこの対談が掲載となるのですが、いち早く新作を聴いてみて、川上さんはどんな感想を持ちましたか。
川上ソロ作品ということで、マニアックなものに突き進むのかと思ったんだけど、めっちゃアコースティックだなと思ったんですよね。歌ものだな、これって。この人はやっぱりヴォーカリストなんだなと思えて、変な言い方だけど、好感度がさらに上がったというか(笑)。めっちゃあったかい。「ear+f」もすごくよかった。
TK温度感は高いかもしれないですね。時雨は温度感はあってもそれが無機質に見える部分が多いもので。
川上攻撃性もあるしね。
TK鋭さのほうが耳に到達するスピードが速いじゃないですか。なので、核にある部分は同じでも纏ってる音のイメージが変わると、それこそ温度感がちがって聞こえるのはすごく面白いなと思っていて。自分では好きなメロディは変わらないのに、纏う音を変えると、それこそ時雨は激しすぎるけど、こっちは聴けるとか、その逆もあるだろうしね。
川上そう。このアルバムを聴いたら、逆に時雨のアルバムも聴いてみたくなると思うんですよね。そういうのを知った上で聴くと、だからこうやって激しくなるんだっていうのがわかるアルバムだと思う。より深く、凛として時雨を楽しむことができるアルバムだとも思うしね。すごく温かみのある、いいソロ作品だと思う。ちょっと曲数、少ないんじゃない(笑)。
では最後に、TKさんは本日の対談はどうでしたか?
TKなかなか遅い出会いではあったんですけど、それぞれいろんな場所でいろんな経験をしてきて、きっとこうして今だからお互いに通じ合える仲として出会えたんだと思いました。
川上そうかも(笑)。タイミングまちがってたら、交わらなかったかも。
TKなので、これからもいろんな映画を観に行きたいなと思います(笑)。
ちなみに、最初に映画に行こうっていうのはどちらから誘ったんですか。
TKこの前はたまたまホラー映画だったんですけど、もともと僕がよくスタッフを連れてホラー映画とか観に行ってて、この頃時間が合わなくて。ただホラーって誘える人もなかなかいないし。で、話をしてたら、「それならお勧めのやつあるから」って洋平君が教えてくれて、みっちゃんと3人で行ったんですよ。
川上みんなそれぞれポップコーン買ってね(笑)。
TK僕は、普段食べないんですけど、ふたりとも当たり前のようにポップコーン買っていたので僕も買って(笑)。観はじめて少し経ったら、洋平君立ち上がってどこか行ったなと思ったら――。
川上じつはその映画、3回目だったんですよ。面白いから誘ったんですけど。
TKまた同じ大きさのポップコーンを手に帰ってきました(笑)。観終わって写真撮ってもらったんですけど「もう1枚アザーもお願いします」って2枚目を店員さんにお願いしてた時には、ロックスター洋平君をより好きになりましたよ(笑)。その後はコーヒー飲みながら音楽の話したりもして凄く楽しかったんですよね。まあ、また映画もいいですけど、じつは日本でちゃんと対バンライブできてないからやりたいね。
川上ははは(笑)ぜひ、2マンがいいな。
TKなので、ライブもこうご期待ということで。